ダニエル・カルバート(Daniel Calvert)
フォーシーズンズにおける職歴
- 2020年より現職
職歴
- Belon(香港)
- Epicure at Le Bristol(パリ)
- Per Se(ニューヨーク)
- L’Autre Pied(ロンドン)
- Pied à Terre(ロンドン)
- The Ivy(ロンドン)
出身地
- 英国 サリー
語学
- 英語、会話レベルのフランス語
ロンドンからスタートし、パリ、ニューヨーク、香港と、セレブリティにも人気のある各地のレストランで、イングランド南東部の小さな町に生まれたダニエル・カルバートがスターの座にのし上がってきた様は、まるで夢のようです。「小さい時は、祖母のキッチンガーデンで、えんどう豆を摘むことすらしませんでした」と、ダニエルは苦笑いします。「私が生まれ育った家では、料理というのは単なる日常のことで、父も母も、特別食べ物やワインに興味を持っていたわけではないのです」。
そんな家庭環境で育ったダニエルが料理に興味をもったのは、13歳の時。ある朝、自分はシェフになるのだという強い思いをもって目が覚めたと言います。「今でもその確信みたいなものは持ち続けています。何故そのような気持ちになったのかは、見当もつきませんけどね!」
現在ダニエルは、フォーシーズンズホテル丸の内 東京の総料理長として、ホテル内の飲食の全てを監督する立場にいます。フォーシーズンズならではの正確さやディテールへのこだわりについて、「ホテルの全てにおいてクオリティを感じていただけるように心掛けています。ベッドでの朝食、ワーキングブランチ、レストランでのディナーと、口にするものの品質の高さ、パーソナライズされたサービスを愉しんでいただきたいです」と、述べています。
またダニエルは、コンセプトづくりから2021年夏に再オープンするまでの大規模なリニューアルオープンまでの改修プロジェクトの陣頭指揮をとりました。SÉZANNEは彼のユニークなビジョン・想像力によってオープンから半年足らずでミシュラン1つ星を獲得しました。これでまた美食天国の東京に、行ってみなければならないレストランがひとつ増えることになります。「特別な機会のための食事に、繰り返し訪れたいと思っていただけるレストランを目指しています」。ダニエルが仕事にやりがいを感じるのは、リピーターを知ることだそうです。「馴染のカップルや家族が、誕生日や記念日などに繰り返し訪れてくださることは、私たちにとってどんな誉め言葉よりも嬉しいことです」
ダニエルのインスピレーションの源は、この世代の英国人にとってはなじみ深い、ジェイミー・オリバーの親しみやすいテレビの料理番組や料理本でした。16歳の時に、世界最高のレストランで働きたいという夢を抱いてロンドンに向かいます。「7月に学校を卒業すると、翌月にはもう仕事を始めていました」。まずはロンドンの人気レストラン、The Ivy(ジ・アイビー)の調理場で経験を積み、セレブリティにも人気のミシュラン2つ星レストラン、Pied à Terre(ピエダ・テール)では、モダンなフランス料理の基礎について学びました。
2009年には大西洋を渡ってニューヨークのミシュラン3つ星レストラン、Per Se(パ・セ)で、そしてヨーロッパに戻るとパリのミシュラン3つ星レストラン、Epicure at Le Bristol(ホテル ルブリストル パリのメインダイニング)で、それぞれスーシェフ(副料理長)として腕を磨きます。フォーシーズンズ入社直前には、『アジアのベストレストラン50』にも選ばれ、『Highest Climber Award』を受賞したこともある香港のネオパリジャンのビストロ、Belon(ベロン)のヘッドシェフとして調理場を率い、就任中にミシュラン1つ星を獲得しています。
受賞歴のあるキッチンにおいて仕事をしてきたダニエルが最も大切にしていることは、「成功のカギは、一貫性です。誰もが一度は、素晴らしい料理をつくることができると思います。ただ、成功とは、その素晴らしい料理を何度となく再現しながらも、その一皿一皿をさらに優れたものにするための努力を続けることで達成できるものだと考えます」。そして、自分がしていることを存分に楽しむことで、努力をいとわず日々完璧さの探求を続けていくことができる、と話しています。
世界有数の美食都市で経験を積んできたダニエルは、異なる文化に対して偏見のない、そして様々な素材を積極的に取り扱うことができる、オープンマインドなシェフです。彼の出身地は、決して料理の本場ではありませんが、サリーで生まれ育ったことで人生において大切なことを学んでいます。「地元の人たちは、正直で率直です。このことは、私のつくる料理にも表れていると思います。お皿の上に乗っているもの全てに意味があります。単なるこだわりや贅沢さだけではなく、細部にまで気を配っているのです」。
美食家でもあるダニエルにとって、外食することは新たな文化に触れ、愛するこの業界を直接体験するいい機会になります。仕事が休みの日は、街に出て、新しい寿司屋を訪れたりビンテージのシャンパンを試したり、あるいは気分転換にサイクリングを楽しんだりしています。