フォーシーズンズホテル東京大手町のグルメが集うフレンチestでは、食材の調達からテーブルウェアの選択まで、環境への配慮を心掛けています。昨年、「ミシュランガイド東京 2022」で「1つ星」の栄誉を受けたestのシェフ・デ・キュイジーヌ、ギヨーム・ブラカヴァルと彼が率いるチームは、ゲストの思い出に残るクオリティの高いファインダイニングを提供するだけではなく、常に地球環境を意識したメニューの構成や運営を行っております。
ホテルの最上階に位置するestでは、日本のテロワール(産地)に対する深い造詣からインスピレーションを得た革新的でコンテンポラリーなフレンチを提供しています。また、estで実践している環境に配慮した取り組みは、ハウスキーピングから設備や資材まで、ホテルが目指す幅広い側面におけるサステナビリティを反映しています。
「先端技術を駆使しながら、カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)の削減に向けて努めており、環境に配慮した運営を通じて、フォーシーズンズならではのラグジュアリーなサービスをご提供いたします」と、リージョナル・バイスプレジデント兼総支配人アンドリュー・デブリトは述べております。
日本産の食材
エレガントでコンテンポラリーでありながら、自然のリズムにしっかりと耳を傾ける。estのメニューには、旬の野菜や海産物を中心にした料理が並びます。日本の伝統への深い敬意をも持つestチームは、生産者、漁師や猟師、そして各種専門の職人、その慣例や文化、自然や生産物、季節から深く影響を受けています。
「ゲストにご提供する全てのお料理については、食材の産地、誰がどのように育てたのか等、全ての過程において十二分に注意を払っています」と、シェフのギヨーム。「そしてお料理の背景にあるストーリーを、お料理と共にゲストにお伝えする事が非常に大切だと考えています」。
食材の95%は日本産のもので、直接原産地からあるいはつくり手から調達をしております。九州の漁師が捕ったばかりの新鮮な魚、和歌山の農園が育てる50種以上の柑橘類など、厨房で扱う食材の調達には妥協を許しません。また、コースメニューには、旬の食材を生かした季節の「七十二候」を表現した独創的な「作品」が並びます。
ペストリーシェフ、ミケーレ・アッバテマルコによって和三盆や寒天といった職人の技による食材に様々な新鮮な果実を組み合わせるなど丁寧につくられる芸術作品のようなデザートがコースに花を添えます。
「地元の食材を調達利用することで、生鮮食品の賞味期限がより長くなりフードロスを最小限に抑えることができます。同様に調達に関連するカーボンフットプリント*を抑えることにも貢献することができます」と、シェフのギヨームは説明します。
*カーボンフットプリント:商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」をCO2量に換算して表示すること
根から芽までの考え方 余すことなくしっかりと使い切る
キッチンでは、その食材についても、根から芽までのアプローチを実践しています。形が整っていな果実は、ゼリーやソースや煮詰めて使用したり、野菜や肉、シーフードの切り落とし部分からは旨味あるブイヨンをつくります。また、フランスから輸入する伝統的なバターやチーズの代わりに、自家製の大豆を使ったフムスや豆腐チーズを使用する事で、輸送の際に放出される二酸化炭素削減の貢献を考えております。他にも、一人分の分量を調整する、必要量だけを調理するなど、食料を無駄にしていないことを賢明に追及し見直すことで、フードロスの削減に努めています。
「調理するにあたっては、慎重に計量するようにしています。私たちが目指すのは、最高のクオリティの料理を提供することであり、余るほど多くの料理を提供することではありません」シェフのギヨームは強調します。
食を通じて伝統を守る
心の通った協力体制により、レストランは地域社会を支援し、また、衰えつつある伝統を保つ役割を担うことができます。規模の小さな農家や業者、猟師や採集者も、estのパートナーは何世代にもわたって継承されている昔ながらの方法を用いています。合わせて、日本全国各所の農場・農園との関係性を築き上げる事にも力を注いでおります。特に山梨県の黒富士農場、新潟県のいしぐろ農園、石川県のNOTO高農園や、和歌山の紀州原農園とはオープン当初より、estを支えて頂いており、常に鮮度の高い食材をご提供頂いております。
シェフのギヨームにとって仕事に情熱を注ぎ、伝統やスキル、手仕事を実践し継承する方々と協力し合う事は非常に重要なことだと考えています。estでは、食材のみならず、食器やグラス、そしてレストランのインテリアについても、日本のアーティストや職人の作品を取り入れています。
お飲み物へのこだわり
estでは、飲料水や炭酸ウォーターも、自然の恩恵をたっぷりと受けた日本産にこだわっています。
ワインも日本産を多く取り入れ、ワインリストのトップには日本各所から取り入れた特徴ある様々なワインが並びます。
ナチュラルワインをお好みの方は、栃木県のココ・ファーム・ワイナリーが北海道の余市で育った葡萄を野生酵母で醗酵させて醸造したツヴァイゲルトをお勧めします。また、カーボンニュートラル(脱炭素)な製法を実現しているオーガニックでナチュラルなドラピエのシャンパンなど豊富に取り揃えています。
ホテル全体におけるエコの取り組み
フォーシーズンズホテル東京大手町は、新しく建設されたビルの上層階に位置しています。ビル全体に、雨水集水システム、LED照明、照明や空調の自動制御といった省エネ機能が完備されています。ポンプ電動機の制御には省エネルギー型のインバーター、そしてエネルギー効率の高い空調用Vベルトを採用することにより二酸化炭素の排出量を抑えます。また、利用状況により照明の明るさの管理や、ゲストフロアの消灯を行い、エネルギー消費削減を行っております。
また、使い捨てのプラスチック類の使用も順次廃止しております。ゲストルームの飲料水はアルミのボトル入りのものに、ランドリーバッグやキーカードもサステイナブルな素材を使用しています。段ボール、紙類、プラスチック、ガラス、アルミなどのリサイクルに加え、クッキングオイルや石鹸のリサイクルにも積極的に取り組んでいます。
レストランなどのストローは生分解性の素材、また再利用可能なコースタ―へと切り替えました。これに加えて、飲料部では、キッチンからのフードロスをより正確にモニターするために、シンガポールのフードテック企業、Lumitics(ルミティクス)の食品ロスを管理する計測器の購入を進めています。
ゲストルームでは、任意でリネン類やタオルの交換頻度の意向を伺い水の消費を削減や、ゴミの分別にもご協力いただいております。