アンドレイ・マルク
バーマネージャー
フォーシーズンズにおける職歴
- 2024年よりフォーシーズンズホテル大阪にて現職
職歴
- クーペット・アンド・アトリエル・クーペット(ロンドン、イギリス)、シンプソンズ・レストラン(バーミンガム、イギリス、ミシュラン1つ星)、エッジバストン・ブティック・ホテル&カクテルラウンジ(バーミンガム、イギリス)、スカイバー、リゾーツワールドバーミンガム(イギリス)、インターベリック・ビクトリア・カクテルバー・アンド・ナイトクラブ(ブカレスト、ルーマニア)
出身地
- ブカレスト、ルーマニア
語学
- ルーマニア語、英語
バーテンダーとしての情熱が次第に自分の中で何物にも代え難いほど強い思いに変わったというアンドレイ・マルクは、自分は非常に幸運だと語ります。「毎日仕事に行くことが楽しみで、チーム全員が同じように感じてくれることを目指しています。私たちが楽しむことで、お客様にも楽しんでいただける。それこそがバーを特別で素晴らしいものにするのです。」
ルーマニアで育ったアンドレイは、祖父母の影響でホスピタリティがすぐ近くにある環境で様々な物語や伝統に触れながら育ちました。シェフ、ホテルのバーテンダー、そして熟練された自家蒸留酒の職人などが身近にいたのです。幼少期のアンドレイは、伝統的なルーマニアの蒸留酒であるツイカを作る祖母より蒸留のノウハウを学びました。料理もまた、生活の中で大切な一部でした。「私が初めて独りでケーキを焼いたのは、8歳の時でしたね」とアンドレイは笑顔で振り返ります。
大学ではマーケティングとマネジメントを学んでいましたが、「ホスピタリティの奥深さと美しさ」に触れるうちに、自分の真の使命はバーにあることに気づいたと言うアンドレイ。すべての貯金を使い果たしてバーテンダースクールに入学し、そこでの才能と献身が評価され、インストラクターの助手として雇われることになります。
2013年、アンドレイはルーマニアのブカレストにあるインターベリックというバーでプロとしてバーテンダーの世界に足を踏み入れました。インターベリックは、ルーマニアの先駆的バーテンダー、コスティン・ガッシェ氏が所有するお店で、一日の中でレストランからカクテルバー、そしてナイトクラブへと変貌する「カメレオンのような場所」でした。アンドレイはこの場所で、裏方担当、シェフ、ミクソロジスト、そして時にはクラブバーテンダーとして、幅広い技術を磨く機会を得ました。「そこで過ごす時間が長くなりすぎて、結局は上司がナイトクラブ内にある古い部屋を提供してくれたのですが、その話は別の機会にしましょう」とアンドレイは笑いながら語ります。
マリアン・ベケ氏やアレックス・クラテナ氏など、インスピレーションを与えるバーテンダーたちとの出会いがアンドレイの心に火をつけ、新たなクリエイティブの地を求め、彼をイギリスへ駆り立てました。英語がほとんど話せないまま最初に到着したのは、小さな町のヌニートン。ここで彼は「これまでで最も退屈だった」と言う衣料品倉庫での仕事を始めます。
幸運なことに、アンドレイはすぐにバーミンガムのゲンティン ホテルの名高いスカイバーでバーテンダーとして働ける機会を得ました。そこで5つ星のホスピタリティを習得し、すぐにアシスタントヘッドバーテンダーに昇進しました。当時のチームは今でもアンドレイが考案した革新的なガーニッシュのアイディアを覚えています。フライドベーコンとミルクチョコレートを組み合わせたもので、この予想外の組み合わせがお客様に大好評となったのです。Top of Form
その後、業界の巨匠を育てることで知られ、ロータリー蒸発器、遠心分離機、真空調理機などのハイテク設備を使用することで有名なエッジバストン・ブティック・ホテルで働くことになりました。この場所でアンドレイのバーテンダーへの情熱はさらに深まり、彼の日々は昼夜を問わず、勉強や実験に明け暮れ、そしてイギリス全土で開催されるコンペティションに積極的に参加するようになりました。休みの日には、隣のミシュラン1つ星のシンプソンズ・レストランでシェフとしてさらに技術を磨きました。
2019年、アンドレイは『世界のベスト・バー50』で第23位にランクされていたロンドンのクーペットに加わりました。バーマネージャーとして、彼は野心を持ってカクテルの新メニュー開発を率い、年間500種類以上の新しいドリンクを創作し、バーの評判を確立させました。また、ソーホーにあるクーペット・アトリエの立ち上げも監修しました。
現在、バー・ボタのバーマネージャーに着任したアンドレイは、ミクソロジーや季節感、音楽や演劇、アートやクラフトといった広範な興味を生き生きと表現しています。「バーはステージであり、毎晩がパフォーマンスです」と語る彼は、ゲストにきめ細かな演出を体験していただくことの重要性を強調します。
アンドレイの巧みなリーダーシップの下、彼のチームは大阪の伝統に根ざしつつもボタニカルにインスパイアされたドリンクを通じて「発見する喜び」を吹き込んでいきます。頻繁に更新されるカクテルリストは、日本ならではの素材や文化を称え、クラシックな日本のカクテルを現代的にアレンジされたもの。バー・ボタはラグジュアリーでありながらも同時に活気に満ち、親しみやすく、楽しい雰囲気が漂う場所です。まさに、アンドレイと大阪が持つ、オープンでゲストを温かくお迎えするおもてなしの精神を反映していると言えます。
アンドレイは余暇の時間にはその土地ならではの食文化を探索することを楽しんでいます。特に、ここ大阪に来てからは、日本の伝統的な蒸留酒に魅力を感じています。そんな彼が他のバーに行って注文するカクテルとは?「マルガリータは、そのバーの特徴を見極めるのに最適なカクテルですが、私は敢えてシェイクされたダーティーマティーニをロックグラスで注文します。どんな反応が返ってくるかによって、そのバーに真のホスピタリティがあるかないかをチェックする基準にしています」。